昔の話で恐縮だが、パソコン誌の話をする。例えばアスキーやI/Oだ。パソコン黎明期の雑誌は非常にぶ厚かった。なぜぶ厚かったというと、パソコン誌というのは読者が作ったソフトのプログラムのソースリストが丸々掲載されていたからだ。
読者はゲームを遊びたいと思ったら、そのリストを自分のパソコンに1週間か2週間かけて入力してカセットテープに保存した。大抵はBASIC言語とマシン語のダンプリストで、単調な数字を入力していったものだ。
当時、ソフト発表の場と言えば書籍に印刷で、ディスクが普及するのはもっと後だ。だから市場が小さいから、ソフトハウスも半分趣味でやってるようなのばっかだった。もっとも、当時売っていたパソコンも相互に互換性が無く、N社用のソフトがS社用のパソコンで動かないのが普通だった。MACでWindowsのゲームが動かないの同じ。
実はファッション誌も似たような経緯で発展してきている。昔のファッション誌は買うためのカタログ誌ではなく、服を作るための自作誌として売られていた。やっぱりぶ厚くて、実寸大の型紙が付いていて、雑誌の読者はミシンで服を作って着ていたのである。
もちろん、服屋はあったけれども、洋裁店というのがあって布とか糸とか売っていた。ミシンも足こぎ式が売っていたがいつしかマイコンを搭載して電動ミシンになった。高機能化していくと同時に廃れていく妙な機械になってしまった。
パソコン誌もファッション誌も自作誌から、カタログ雑誌に変わっていった。同じ道を辿らなかったのは料理くらいかな。弁当やお総菜が普及しても家で作るのには変わらない。いや、江戸時代の江戸はご飯だけ炊いておかずは売ってたのを買ったらしいが。今のタイとおなじようなもんだ。
でも、センスだけで勝負できたあの時代が懐かしい。ファッションもそうかもしれない。今はプログラムだけでなく、絵や音楽が膨大なものになってしまった。個人でやるのには難しいくらいに。
次になに作ろう、から、なに買おうに変わる消費時代への移り変わりを感じさせる出来事だった。
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